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人事労務相談 2025/05/05 【みなし残業と固定残業の違いとは?】誤解によるトラブルを防ぐために

「みなし残業と固定残業って何が違うの?」「うちはどっちを使ってるのか分からない」——こうしたご相談を、現場で多く受けています。用語が混同されがちなこの2つですが、実は制度としての意味や運用方法には明確な違いがあります。
今回は、社労士の立場から「みなし残業と固定残業の違い」と、それぞれのメリット・デメリット、そして企業が注意すべきポイントについて解説します。
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「みなし残業」とは?
一般的に「みなし残業」とは、実際に働いた残業時間に関係なく、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う制度を指します。
例えば、「月給25万円(うち20時間分のみなし残業代3万円を含む)」という形です。
ただし、法律上の正式な用語ではなく、実態は「固定残業代」制度の一種です。
この用語の曖昧さが、企業と従業員の間での誤解やトラブルの元になっています。
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「固定残業代」とは?
固定残業代制度は、労働基準法上も認められている制度で、あらかじめ決まった残業時間分の賃金を、月給に組み込んで支払う仕組みです。
「45時間分の残業代を月給に含めて支給し、それを超えた分は追加で支払う」というのが、よくあるパターンです。
つまり、「みなし残業」と「固定残業」は実質的には同じ制度を指す場合が多いですが、運用の正確さと合法性を担保するためには「固定残業代」として正しく設計する必要があるのです。
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両者の違いを簡単に整理すると…
比較項目 |
みなし残業 |
固定残業代 |
用語の正式性 |
法的には曖昧 |
法令で認められている制度 |
使用場面 |
日常的な表現、求人など |
契約書、就業規則など法的文書 |
意味合い |
残業があるかどうかに関係なく払う、という誤解が多い |
一定時間分の残業代を先払いし、超過分は別途支給 |
トラブルリスク |
高め(制度の誤用・誤解) |
適正な設計なら低リスク |
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制度運用の注意点
✅ 労働条件通知書・契約書に明記
・「基本給」「固定残業代」の内訳と時間数(例:月45時間) ・超過分の残業代を支払う旨
✅ 募集要項・求人票にも記載
求人票で「みなし残業」という表現を使う場合でも、具体的な時間・金額・制度の説明を記載しておくことが重要です。
✅ 超過残業分は必ず支払う
たとえ「45時間分の固定残業代」を支払っていても、実際に60時間残業した場合は超えた15時間分の割増賃金を別途支給する義務があります。
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よくあるトラブル事例
- 「みなし残業だから、何時間働いても給料は同じ」と誤解していた
- 求人票には20時間と書いてあったが、実際は月80時間以上残業していた
- 超過分が支払われておらず、退職後に未払い請求された
→ これらはいずれも、「制度の誤解」や「記載の不備」が原因で発生しています。
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まとめ:名称よりも「中身」が大切
「みなし残業」と「固定残業代」は、言葉は違っても本質的には同じ制度を指します。しかし、運用方法や説明責任を果たしているかどうかで、トラブルリスクに大きな差が生まれます。
企業としては、正しい名称よりも、法令に則った設計と運用が何よりも重要です。
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