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人事労務相談 2025/04/28 【固定残業代45時間制とは?】制度のポイントとトラブルを防ぐための注意点

最近では多くの企業が採用している固定残業代制度。その中でも特に多いのが「45時間分の固定残業代を含む」といった形での運用です。しかし、制度の理解が不十分なまま導入・運用してしまうと、未払い残業代のリスクや労働基準監督署からの是正指導につながる可能性もあります。
今回は、社労士の立場から「固定残業代45時間制」の仕組みと、正しく活用するためのポイントを解説します。
固定残業代とは?
固定残業代とは、あらかじめ一定時間分の残業代を月給に含めて支払う制度のことです。例えば「月給30万円(うち45時間分の固定残業代8万円を含む)」といった形で設定されます。
この制度は、従業員にとっては給与が安定し、企業にとっては人件費の見通しが立てやすいというメリットがありますが、適切な設計・運用ができていなければ大きなデメリットを招く可能性があります。
「45時間」の根拠とは?
労働基準法では、法定労働時間を超えて働かせる場合、「36協定」の締結と届け出が必要です。また、時間外労働の限度基準として「原則月45時間、年360時間」が設定されています。
そのため、多くの企業が「固定残業代=45時間分」と設定することが一般的となっていますが、これはあくまで上限ではなく目安です。
固定残業代45時間制のメリット
- 【給与が分かりやすい】
従業員にとって、毎月の給与に含まれる残業代が明確で、収入の見通しが立てやすくなります。
- 【企業の人件費予測が容易】
変動する残業代に比べ、固定化することで人件費の予算管理がしやすくなります。
しかし、ここが危ない!運用上のデメリットと注意点
- 【明細の記載ミスで違法に】
固定残業代の内訳を明示しないまま総額だけ提示しているケースが非常に多く、これでは法律上の要件を満たしていません。求人票や労働条件通知書に、基本給と残業代の内訳を明記する必要があります。
- 【実際の残業が45時間を超えた場合の対応】
45時間を超える残業があった場合には、超過分の割増賃金を別途支払う義務があります。固定だからといって、それ以上の時間に対して支払いをしないのは違法です。
- 【業務内容と見合っていない設定】
営業職やIT職など、実際の残業が月60〜80時間に及ぶような場合、「45時間固定」は過小設定とみなされ、法的リスクが高まります。
社労士が勧める「適正な固定残業代制度」のポイント
- 就業規則や労働契約書に明記
→ 固定残業代の時間数・金額・割増率・超過分の取り扱いまで、明確に記載しましょう。 - 毎月の残業時間の把握と記録
→ 実際の残業時間と照らし合わせて、45時間を超えていないかを確認。もし超えていれば、必ず追加の残業代を支払いましょう。 - 求人広告・面接での説明も丁寧に
→ 誤解を防ぐため、採用時点で明確に説明することが大切です。トラブルの多くはここで生まれます。
まとめ:固定残業代45時間は「万能」ではない
「固定残業代45時間」は、便利な制度である反面、適正な運用と法令遵守が求められます。違法な設定や不適切な運用は、未払い残業代の請求や労基署の調査というリスクに直結します。
当事務所では、固定残業代制度の導入・見直し、求人票の文面チェック、労基署対応までトータルでサポートしています。制度導入をご検討の方、既存制度の運用に不安がある方は、ぜひご相談ください。
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