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固定残業代とは?(3)固定残業代制度の導入方法

固定残業代とは?(1)固定残業代のメリット・デメリット
固定残業代とは?(2)残業代がもとでトラブルになった事例
固定残業代とは?(3)固定残業代制度の導入方法

ここまで話したように、固定残業代制度は正しく運用すれば、労働者にとっても会社にとってもメリットのある制度だとお分かりいただけたと思いますが、誤った方法で導入してしまってトラブルとなるケースが増えているのも事実です。
企業が固定残業代制度について導入する動機は様々あるでしょう。これから導入を考えている企業や、すでに導入している企業も参考までに。
固定残業代制度について、実際に運用していく方法についてお話ししたいと思います。

固定残業代の定め方
1. 固定残業代の計算方法
2. 残業時間
3. 固定残業代、営業手当、深夜割増などの区分。それらを含む場合はその取扱いについて
4. 固定残業時間を超える残業についての規定
5. 労働者への周知と労使間の合意

これらを就業規則などで規定する必要があります。すでに就業規則があるときは、従業員の過半数の代表者から意見を聴取し、労働基準監督署長に書面で提出することが義務付けられています。必要とされるのは意見聴取までで、労働者の同意を得ることまで求められていませんが、労働契約法で、就業規則の不利益な変更は禁止されています。変更の合理性、必要性、整合性が問われるため、協議は必要不可欠と言っていいでしょう。

残業時間と三六協定
固定残業代の時間は月どのくらいまで認められるか?についてお話しします。
まず三六協定についてお話ししますが、三六協定とは、労働基準法36条に基づく労使間の協定であり、「法定労働時間外の労働、および休日労働」に関する協定となります。極論ですが「法定労働時間外は働かせない」「休日出勤は絶対にない」という企業なら三六協定は不要ということになります。しかし固定残業代制度について規定を設けるならば、三六協定は必要です。
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間とされていて、2019年~2020年にかけて働き方改革が推し進められた結果、上限を超えて働かせた場合には企業は罰則が科されることになりました。違法残業、名ばかり管理職など、様々なメディアで取り沙汰されてきましたが、今後も違反事例の取り締まりは進められることが予想されます。
しかし三六協定では「特別条項」を設けることで、これを超えて労働させることもできるようになっています。

三六協定における特別条項とは
時間外労働の上限を、原則月45時間・年360時間として、全ての業種職種がこれを遵守することは難しいでしょう。特別条項とは、特別な事情がある場合、時間外労働の上限を超えて働くことを認める制度です。特別条項を規定するためには以下の点に注意する必要があります。
①時間外労働をさせる具体的事由と対象の範囲
「上長が認めた場合」や「やむを得ない場合」のような抽象的な記載は認められません。
例えば具体的な事由が「受注の集中」で対象の範囲が「製造部」といった場合や、決算期における経理部、製品に不具合が生じた場合の品証部など、蓋然性のある規定が必要となります。
②延長時間の制限
・年間の上限時間が360時間→720時間まで規定できる
・2~6カ月の時間外労働の平均が80時間以内であること
・単月の時間外労働が100時間未満であること
・特別条項の時間外労働を課すことができるのは年6回まで
③従業員の健康管理
特別条項で時間外労働を課す場合には、従業員の健康管理のため、深夜労働の限度回数、休憩時間、代休や有休の取得、医師による面談や指導、健康診断など、定められた具体的な措置を記載する必要があります。

導入後の運用、勤怠管理
規定の就業時間、残業時間、深夜割増、休日出勤などの勤怠管理、そして正確な給与計算。当たり前のことのように感じられますが、思いのほか正確に管理できていないのが中小企業の実態です。
勤怠管理には、いくつもの専用ソフトが用意されていることからも分かるように、簡単にできる業務ではないのです。会社によっては、すでに制度が確立されているにもかかわらず、勤怠管理をおろそかにしていたり、制度そのものをしっかり理解していないなどの理由から、不十分な運用しかできていないケースもしばしば見受けられます。
固定残業代は新しい制度でテンプレートもなく、労働法や人事労務など、専門的知見もなく運用することは困難でしょう。不十分な体制で運用を続けた結果、未払い賃金など意図せず生じさせてしまい、最悪、労働審判や労働紛争に発展する可能性すらありえるのです。

経営者あるいは人事担当者は、残業代制度について正しく運用できているか、リスクヘッジはしっかりできているか、適法適正について、いま一度考えてみてはいかがでしょう。

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