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新型コロナウイルスと人事労務
新型コロナウイルスと人事労務

新型コロナウイルスの流行と、人事労務についてのお話です。2021年12月現在、世界的にはオミクロン株が拡大傾向にあります。一方、日本では落ち着いてきているようにも見えますが、前述オミクロン株もすでに流入が確認されており、予断を許さない状況にあるといえるでしょう。
さて、こんなときだからこそ、休業した場合の対応や就業規則について、考えてみてはいかがでしょうか。
今回は休業手当についてのお話です。

従業員が新型コロナウイルスに感染してしまった
ウイルスに感染していることが明らかな場合には、一般的に休業手当を支払う必要はないと考えられます。感染してしまったことが「使用者の帰責事由」にあたるとは考えにくいので、休業させることも止むなしということになるのです。
新型コロナウイルスに限らない話ですが、会社側が従業員を休ませる場合、休業期間中の手当ての決めごとはもちろん、緊急時における営業時間や就労時間、時差出勤や在宅ワークなど、労使間でよく話し合っている必要があります。事前の備えさえあれば、使用者も従業員も憂いなく働くことができるし、休業させることも、従業員が休業することも可能となります。
労働基準法26条では「使用者の責に帰すべき事由による休業」する場合には「休業手当を支払わなくてはならない」としていて、平均賃金の「100分の60以上」と定めています。ただし、休業手当を払った場合には、雇用調整助成金の対象となることもあるので、窓口や専門家に相談してみるのも良いかもしれません。

感染疑いの従業員を休業させる場合
このケースでは、会社側から休業させることになるので、「使用者に帰責事由」があると見なされます。よって、休業手当を支払う必要があるということになります。
就業規則がない場合ですが、厚労省Q&Aによると、「帰国者・接触者相談センター」に相談して、専門の医療機関を受診することになります。このケースでも、会社が休ませるのであれば、休業手当の対象になると、厚労省WEBサイトに記されています。
従業員が自主的に休む場合も考えられますので、次の項で解説しましょう。

発熱や風邪の症状がある従業員が自主的に休んだ場合
使用者の判断でなく、従業員が自主的に休むときには、休業手当の支払い義務はないと考えられています。この場合は通常の病欠と同じ扱いで構いません。しかしながら、使用者側に判断基準がある、例えば「〇〇℃以上の発熱」や「風邪の症状」のみをもって、一律に休ませる措置をとらせるなどの定めがある場合には、休業手当の対象となる可能性があります。
最近では、会社が休業させたのか、従業員が自主的に休んだのか、実際には判断が難しいケースも多いので、感染が明らかでない限り、休業手当の対象とすることも、検討の余地があるといえます。

感染した従業員を休業させる場合
感染が明らかとなった場合、就業規則に定めがあれば休業させることができます。この場合は「使用者の帰責事由」に該当することはないと考えられ、一般的に休業手当を支払う必要がないということになります。厳密には「都道府県知事が行う就業制限」が必要ですが、各自治体の知事が陽性者すべてに通知することは現実性を欠き、日本全体で鎮静化を目指す現状にも即しているといえません。もっともウイルスの震源地が社内だったときは別で、そのときは労基署に労働災害による休業補償を請求することができます。
なお、感染が明らかになった従業員が、社会保険などの被用者保険に加入していて、かつ要件を満たすなら、傷病手当として、標準報酬日額の3分の2が支給されます。具体的な申請手続きについては、加入する保険者や顧問社労士などに確認するといいでしょう。

特措法による要請で営業自粛を行った場合
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく営業自粛要請を受けて、従業員を休業させる場合には、一般的に休業手当を支払う義務はないものと考えられています。労働基準法26条では、不可抗力による休業の場合に、休業手当の支払い義務が失われると定めているからです。休業要請は外的要因であり、不可抗力であることが明白なので「使用者の帰責事由」がないとされているからです。
なお、労働基準法では、在宅勤務が可能であるにもかかわらず休業させている、あるいは自粛要請の対象でない勤務地があるのに休業させている場合など、不可抗力でないと判断することがあります。行政が個別の案件を調査することはないかもしれませんが、労働者を休業させることになったとしても、労使間で充分な話し合いがもたれていることが望ましいことは言うまでもありません。

まとめると
感染疑いの従業員を休業させる場合 ⇒ 休業手当は原則必要
発熱や風邪の症状がある従業員が自主的に休んだ場合 ⇒ 休業手当は原則不要
感染した従業員を休業させる場合 ⇒ 休業手当は原則不要。傷病手当金の対象
特措法による営業自粛を行った場合 ⇒ 休業手当は原則不要ですが、支払った場合は雇用調整助成金の対象

ここまで述べたこと全てが、統一見解として定まっているわけではありません。休業手当や休養時の決めごとについて、労使間で十分に話し合い、お互い納得した内容を就業規則などで定めることが理想でしょう。
ほかにも行政による助成や、保険組合による給付など活用することも、納付者が持つ当然の権利なので、経営者として知っておく必要もあるといえます。