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円満退職と退職合意書

問題のある社員に退職してもらうにはどうすればいいか?人事労務における大切なテーマの1つといえます。問題社員にも色々とあり、例えば従業員の能力不足であったり、または上司の業務命令に従わない、あるいは勤務態度が悪いなどが考えられます。個別の対応については千差万別の対応があって、定型化することは困難でしょう。よって今回は、トラブらない適切な退職手続きについて、退職合意書とは何なのか見ていきましょう。

退職合意書の作成
「退職合意書?退職届があればいいんじゃないの?」という方もいるでしょう。
しかし退職届というものは、従業員から会社側に対する一方的な意思表示でしかありません。
そのため、会社側の要望が反映されることは少なく、退職届だけだと、後々トラブルになることがあります。近年、退職後のトラブルを回避するため、退職合意書の作成をする企業が増えてきたので、その内容や注意点について解説します。

退職合意書で定める内容
1.合意解約
退職について合意したこと(解雇ではないこと)と、退職する日を明確にすることから始めます。
従業員による退職撤回の防止にもなります。
2.退職する日までの処遇
業務的な引継ぎ全般について、例えば取引先の引継ぎであったり、進行中の案件があれば後の業務に支障を来さないよう情報を共有します。また、有給休暇があればどうするか決めておくと良いでしょう。退職日までに私物を持ち帰ること、以降は処分を会社に委任する旨などもトラブル回避につながります。
3.退職金、解雇予告手当、慰労金について
支払うべき金銭があれば、その内訳(住民税控除、振込手数料など)、金額、支払日などに関して記載。
4.退職理由
今回は問題社員の退職勧奨についての話なので会社都合退職と記載します。従業員からの申し出なら自己都合退社とできるので、自己都合でも書面に残すことをおすすめします。
5.機密保持
・職務上知りえた取引先の業務や取引内容など、取引先に関する一切の情報の漏洩を禁じること
・会社の技術、サービス、人事労務、財務、または個人情報などに関する一切の内部情報の漏洩を禁じること
・本合意書の内容と存在について、口頭、書面、またはSNSを含むインターネット上に漏洩しないこと
・取締役が退職する場合は、競業避止義務について法律の範囲内で記載
6.清算条項
会社と退職者の間に債権債務がないこと。
裁判上の異議申し立て、裁判外における紛争解決手続き(あっせん・仲裁・調停など)を行わないこと

退職合意書がどんな時に役立つのか
1.退職後に「不当解雇だった」と主張
話し合いのすえ、退職届を提出させこれを承認したが、後日「不当解雇」を訴えてくるケースが後を絶ちません。再雇用あるいは賠償を求めてくることもありますが、合意解約で対抗することができます。
2.退職の撤回
退職届を提出していたが、事情が変わって撤回を申し出てきた。判例によると撤回は認められており、会社が退職届を受け取ってはいたが、承認したとする書証がなかったケース。前項と同じように合意解約で対抗できます。
3.退職を強要されたと主張してきた
退職の意思表示はしたが本意ではなかったと訴えてくる事例。例えば、無理なノルマが不達だったとされ歩合給に影響したことが原因の事実上の強要だった、転勤や異動に納得がいかず直談判したら退職を強要された、などが考えられます。合意解約あるいは退職理由で対抗することができます。
4.残業代や退職金など金銭の要求
過去の残業代について労使間で疑義があったため解決した、あるいは有給買い取りなどで会社は金銭を支払った。後日、退職した従業員が受け取った金銭について「退職金だった」と主張し、更に金銭の支払い求めてくる事例。未払い残業や退職金については、専門とする弁護士もいるほどなので、特に注意が必要です。合意書で支払った金銭について明文化、さらに清算条項があれば、裁判内外問わず書証として有効とされる可能性が高まるでしょう。
5.退職後に会社のサービスや技術、人間関係や言動など、内部事情がインターネット上で暴露された
秘密保持については、個人情報保護の観点からも無視できません。インターネットの発達で、個人が簡単に情報発信することも可能になったのも理由の一つ。痛くない腹をさぐられれば、これからの人事採用に悪影響を及ぼしたり、企業のイメージダウンにもつながります。機密保持を明記することで、抑止力としての効果を期待できます。

退職合意書の必要性について
個別のケース全てを「退職合意書」でリスク回避できるとは言えません。逆に言うと、退職合意書があったとしても、訴訟や紛争に発展することがあるということを知ってほしいのです。そしてそれは、企業の大小問わず直面するトラブルということができます。体裁を整えた退職届だけで処理している企業はありませんか?退職届だけでは解決できなかった問題も、退職合意書があれば解決できるケースも少なくありません。

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